Rosso提供サービスとお客様ニーズ
顧客からの要望
顧客からの要望は、「スナップ写真から、特定の人物が写っている写真を検索するシステム」をマスク着用写真でも精度よく使えるようにしてほしいとのことでした。
コロナ禍でマスク着用写真が一般的になりましたが、マスク着用写真は検索精度が低く、検索結果に表示されないといった問題が発生していました。
また、システム改修に工数をかけたくないという要望もありました。
顔認証の課題
スマートフォンの本人確認やビル入館時の認証など、顔認証は幅広い用途で使われています。
最近の顔認証は十分精度が高く、これらの用途には安心して使うことができます。
しかし、撮影条件が以下のような場合、正しく顔認証できないという課題があります。
- 光の当たり方が大きく違う
- 顔が真正面に向いていない
- 顔が完全に見えない、マスク等の遮蔽物がある
スナップ写真の場合は光の当たり方・顔の向きなど撮影条件が様々で、満足できる性能を発揮できないことがあります。
マスクをしている場合はさらに性能は悪化するため、実用化へのハードルが高くなっています。
性能改善の取り組み
顔認証システムは以下の構成になっています。
1.顔検出:写真から顔部分を抽出
2.顔写真の正規化:抽出した顔写真について、顔の傾きなどを補整
3.顔認証:同一人物かを判定
本案件においては、顔認証システムの「顔検出」と「顔認証」部分について性能が改善できるか検証しました。
性能検証
性能検証は、以下のように行いました。
1.顧客から提供いただいた写真(幼稚園~高校生の入学式・修学旅行・運動会などの写真)を基に、手作業で同一人物に印をつけ、テストデータを作成
2.「顔検出」単体の性能調査。既存モデルと新しいモデルで性能を比較
3.「顔認証」単体の性能調査。顔検出と同様に、既存モデルと新しいモデルで性能を比較
4.顔検出~顔認証まで通した性能調査を実施。「顔検出」と「顔認証」の性能が良かった新旧モデルの組み合わせで性能評価
検証結果
性能検証の結果、ボトルネックとなった箇所を特定することができ、その箇所をオープンソースのマスク対応済みモデルに交換しました。
ボトルネック部分のみ対応することで、システム改修の工数を削減しました。
モデルの改良によりマスク着用顔写真の検索精度が向上し、写真の売上に貢献しました。